『神道の源流「縄文」からのメッセージ』出版に寄せて 宮下周平さんから推薦文をいただきました

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『神道の源流「縄文(JOMON)」からのメッセージ』の出版に際し、著者である伊勢神宮禰宜・吉川竜実さんとご縁のある数多くの方からの推薦文をいただくことができました。

今回は、その中から、自然食品店「まほろば」の創業者であり、浄水器『エリクサー』の開発者である、宮下周平からのお声を紹介させていただきます。

宮下周平さんから推薦文をいただきました!

何事のおはしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる  『西行法師家集』
何の木の花ともしらず匂哉   松尾芭蕉『笈の小文(おいのこぶみ)』

伊勢の神宮に参詣した芭蕉は、「何かはわからないが、ありがたさに泪が零れる」と詠んだ西行の泪を慕って、“何か”を花の句に託した。

何だかわからないこの真情について、世界的な数学者だった岡潔先生は「情緒」と語り、佛教心理学で初めて「第十識」と位置付けた。それが佛教史上、革命的大発見となったのだ。それまでの佛教徒は『成唯識論』の第九識(大我を知る真如)を最終の境地として求道を重ねて来たのだが、岡先生は、「第十識こそが、宇宙の根底を支える大霊性である。佛教や中國哲理にもない“日本人の真情”であり、超在一神的汎神の心である」と力説された。超在一神的汎神とは一神教の中にアニミズムがあり、アニミズムの中に一神教があって、しかもそれを超えた存在。天之御中主神の位、天照大御神の心を中心に据えて、八百万の神々すべてが調和一体化していること。一見相反するものもすべて内包して超越する。そのような“真情”こそが人類世界を内側から統合していく力になり得るということだ。

奈良時代の人々も現代人も、姿は変わるも、煩悩に囚われ、政治も人心も荒んで、1500年間少しも変わらないではないか。神武以前、争いの痕跡もない縄文まで遡らねば、真の日本人に突き当たらない。考古学では3万8千年前に日本列島に入ってきたさまざまな集団が交わって縄文人に移行したと確認されている。この長い淘冶の中で、我々が無意識のうちに醸成してきた心情こそ、情緒である。

神道の源流を縄文に辿り、「火焔式土器」を水煙式土器と見立てた、伊勢の神宮神職・吉川竜実氏の卓見は痛快だ。

世界の1%の国土に、20%の天災が降りかかる日本。いつ天災が襲い来るかもわからない惧れ(おそれ)と慈しみから、自然への畏敬の念が3万8千年の時を経て鍛え育てられたのだ。これが八百萬の生きとし活けるものを神と敬い、煩悩の紅蓮を退散させる火焔の心である。

かたや日本は七方面から来集したとする多民族国家であり、太平洋の何万里の波頭を超えて集いに集った集団なのだ。戦わずして赦しに赦し、容れに容れた大海原の器量と、艱難辛苦をものともせぬ勇猛心。正に水煙の心である。その結晶化した姿が、縄文土器だったのだ。

火と水は打ち消し合う敵対同士である。だが、そこに土器を挟むと、水は湯と化し、火は暖と化す。これぞ、易に言う大調和の象意、「水火既済(すいかきせい)」である。対立は、常に融和の前触れ、兆しである。

まさに、混沌として黄泉のどん底に突き落とされた今の日本。その日本人に眠る「真情」に一旦斎火が点けば、岡先生の遺言通り、絶望的な無明濁世を照らし、蘇るのだ。いまこそ、萬載一遇の好機、必ずや、日本は蘇り、世界は甦る。

「縄文は、世界を救う」。

伊勢の神宮で天照大御神に仕え、真情の只中に身を置かれてきた吉川氏の高著は、困窮する日本人を掬(すく)い出そうとしている。

宮下さん、素敵な推薦文をありがとうございました!

宮下周平さんプロフィール

1950年、北海道恵庭市生まれ。札幌南高校卒業後、各地に師を訪ね、求道遍歴を続ける。83年、札幌に自然食品の店「まほろば」を創業。無農薬野菜を栽培する自然農園を持ち、セラミック工房を設け、オーガニックカフェとパン工房も併設。浄水器「エリクサー」を開発し、その水から世界初の微生物由来の新凝乳酵素を発見。産学官共同研究により国際特許を取得する。0‐1テストを使って多方面にわたる独自の商品開発を続ける。現在、余市郡仁木町に居を移し、営農に励む毎日。

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