大いなる愛につながる物語(ナラティブ)を!

コラム

毎年恒例の新春対談。株式会社船井本社の舩井勝仁社長に2025年の展望についてお話を伺いました。

舩井 勝仁ふない かつひとさん

1964年 大阪府生まれ
1988年 株式会社船井総合研究所入社
1998年 同社常務取締役 
同社の金融部門を経て船井キャピタル、船井情報
システムズの代表に就任。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社
会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、株式
会社船井本社の社長に就任。
集合意識の変革に働きかけて、いい世の中づくりを
進めていくために、講演・執筆活動を続けている。
舩井幸雄.com

「自力」が自分を助け人を助ける時代

近藤太郎(以下、近藤)2025年は、スピリチュアル界隈でも注目の年になっていますね。アメリカではトランプ政権が誕生し、世界中で起きている戦争の行方も気になります。

舩井勝仁さん(以下、舩井さん):まず、7月に大災害が起こるという話がありますが、私は多分、大丈夫だろうと思っています。これだけ多くの方の意識が集まっているのだから、逆にそれを回避させようという流れが起きているのではないかと思うのです。

トランプさんは、戦争しないほうが得だという考えだと思うので、戦争も終結に進むと思います。ただ、一期目にはいろいろ思い通りにいかなかったトランプさんも、二期目は要領がつかめているでしょうから、暴走して独裁者になるのではないかとちょっと心配です。憲法改正を行い、満期後も辞任しないかもしれません。また、力が弱体化したといっても、実際、世界の秩序を守っているのはアメリカですから、もし内戦状態にでもなったら世界中の貿易も止まってしまい、食糧やエネルギーの自給率の低い日本は大変なことになるでしょう。彼はアジアのことには興味がないですから。

確かに2025年は大変な年になる可能性は高い気がしますから、もしもの時のために準備はした方がいいかもしれません。多くの宗教の中でも、新しい世の中が誕生するには、まず破壊が必要だという考えもありますし、それを強く望む方もいます。ただ、実際何か起きたならば大変なことになるでしょうし、一番痛い目に合うのは弱い方たちです。ですから「大難を小難に変える」ことが大切になってくると思います。

近藤:備えあれば憂いなし、でしょうか。実際どのような心づもりでいればいいでしょうか。

舩井さん:まず「自分の力をつける」ということでしょう。選挙でも与党が大敗し、政治的にもいろいろと滞ることが予想されます。終身雇用が前提の安定した人生を期待することも難しい時代ですし、企業や国を頼らず生きていく力が大切になると思います。

地方に住んでいる方は、普段から、ご近所とのお付き合いがありますから、本質的には食べ物には困らないと思います。ただ、経済的には大都市のほうが強い。今後、公共事業や補助金には頼れなくなるので、それに支えられている地方経済は厳しい。だから、コミュニティで稼ぐ力をつけていくといいと思うんです。例えば、全国チェーンのコンビニやスーパーではなく、仲間内で売買をして経済を循環させたり、みんなでアイデアを出し合い観光業に力を入れたりすることもできます。昨今インバウンドの方がたくさん地方にも来ていますし、口コミで観光客が増える可能性はあります。

逆に都会の人は、マンションで隣にどんな人が住んでいるかもわからないような状態ですからこのアプローチは難しい。その代わり、稼ぎやすい環境ではあるので、力のある人はどんどん稼いでもらう。副業や投資も一般的になってくるでしょう。もちろん、最初から投資で成功する保証はありません。それでも多少痛い目にあいながらも学んでいけば、経済の仕組みがわかってきます。それが、生きる力、サバイバル力につながると思うんです。「利他の心」を発揮するには、やはり自分が強くならないといけませんから。

からだの声に従って経済力を高めよう

近藤:2024年は円安で厳しい状態が続きました。投資をしたほうがよいとのことですが……。

舩井さん:ぼくは、株の暴落は起こりにくいと思っています。それよりもインフレの方が怖い。為替や金利の動きは激しそうですね。

15〜20年前、父(舩井幸雄さん)は「投資信託は絶対損するから買ったらあかん」と言っていました。専門家の方に聞くと、今でもやっぱり安全な商品は1割くらいのようです。その1割の商品を長期投資で毎月決まった金額をコツコツ積み立てていくのが入り口としては一番わかりやすいと思います。

「お金持ちになる唯一の方法は、合法的に税金を払わないこと」と、ロバート・キヨサキさんが「金持ち父さん貧乏父さん」で明確に書いています。NISAは、私たち一般人にも開かれた税金を払わなくてよい制度ですから、やらない手はないだろうなとは思います。心配せずに深く息が吸える金額ぐらいが許容量です。100万円投資して、呼吸が浅くなったらそれはやめる。ぼくのお金の師匠である竹田和平さんは、やっちゃいけない投資をするとお腹が痛くなったそうです。身体のサインに耳を傾けられる能力が大切になります。いまの値段を調べないで買ったことを忘れるぐらいがコツですね。

メタ化を高め、究極のナラティブを

舩井さん:もうひとつ大切だと思うのは、メタ、抽象化能力です。メタ化とは次元を一つ上げて俯瞰して見ることですが、これって直観力にも通じると思うんです。「よくわからないけど、この電車には乗りたくない」「今出かけるのはちょっと嫌だな」という感覚を気のせいで済ませない。直観力を使えば、詐欺師にだまされることもなくなります。

究極の美意識は神の視点になることかもしれません。インド・ヨーガの言葉で言うと、最高の抽象化はブラフマン(梵)意識になること。まずはブラフマンの分身であるアートマン(真我)に気づき、ブラフマンと一体化する。これが最高のメタ化で、アセンションとも言えると思います。金融にしてもコミュニティにしても農業にしても、全てメタ能力が優れているかどうかで成否が決まっていくようになる。

近藤:弊社では、「いま、この瞬間に、未来をつくっている」をスローガンに「バンクシア未来創造コミュニティ」を展開しています。“縄文意識”“日本の霊性”“商品開発物語”など多岐にわたってご紹介しながら、皆で心豊かな未来を創造していけたらと思っているんです。その中でメタ化をどう実現していけるか、ヒントをいただけますか。

舩井さん:抽象という言葉を置き換えるとしたら、一番しっくりくるのは「ナラティブ」すなわち物語です。理屈は通ってなくてもいい。自分独自の物語を持つということです。イーロン・マスクさんは、実に頭の良い方で行動力もありますが、よく話を聞くとめちゃくちゃなことを言っている。それでも人々がついてくるのは、自信たっぷりに自分の物語を展開しているからです。日本よりもアメリカのほうが、ナラティブを受け入れる許容量はあると思います。けれども、人の話を聴かないで、ある特定の人がよければいい、という傾向があると思うんです。

自分の意見を言うだけでなく、人の話もきちんと聞いてお互いに影響し合う。「和を以て貴しと為す」という日本的なメタ化で、トータルヘルスさんのコミュニティも進めていかれたらいいと思います。今は、お客様も情報を手に入れやすい時代ですから、情報を発信するという立場だけでなく、お客様と意見交換しながらナラティブをつくり、磨き合っていくことができるのではないでしょうか。

メタ化すれば次元が高くなり、自分のことだけでなく、社会や世界中の子どもたちのことまで自然と思いが至ります。それと同時に、今日のご飯のことも大切ですよね。神様や宇宙の視点、そして日常の視点。これらを自由に行き来できれば、直観力もついてくるしシンクロも起こる。そして最終的には、ヨーガでいうブラフマン、キリスト教でいうところの愛に至る。それくらい抽象化の能力をつけていくことを、2025年は目指していくことになるのだろうと思います。

近藤:それはいわゆる「縄文的な思想」と通じるでしょうか。

舩井さん:「縄文的」といっても、縦穴式住宅に住みたい、ということではないですよね。今の便利さや豊かさを保ちながら意識を上げていくことが、進歩であり進化だと思います。エアコンがある快適な暮らしをキープしながらも、精神的によりよい生き方は実現できると思うんです。

大東亜戦争で310万人の方が亡くなられましたが、生き残ってくれた人が大変なご苦労をされて、ぼくたちを子孫として残してくれたわけです。だから、日々の営みは何があっても続いていくし、人間にはそれを続けていく能力があるんです。現実をよりよいものにする力を皆さん持っていらっしゃると思うので、今の豊かさを享受しながら意識を上げ、ホモサピエンスのまま次の段階に行けたらいい。Thdの創業者、ジミーさん(近藤洋一)や私の父もそんな思いで活動してきたのだと思うので、その思いを自分なりに受け継いでいきたいと思います。

近藤:「バンクシア未来創造コミュニティ」も、メタ化によってその意義が深まりそうです。ともによりよい2025年にしていきましょう。示唆に富むお話をありがとうございました。

(文責:坂梨 直子)

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